僕のホームステイしたアカ族のお宅はタイとミャンマー国境近くにあります。長くなるので民族ごとに分けて紹介したいと思います。
今回の旅では3件のお宅にホームステイさせていただきました。タイのアカ族、カレン族、ミャンマーのパオ族です。
知り合いを伝って出会った人や飛び込みで泊めていただいたお宅もあります。
何故こんなことをしているのかというと僕は貧困について関心があるのですが、貧困とされる彼らの生活はどのようなものなのか、実際に肌で感じてみたかったからです。
貧困というと生活が苦しく支援を必要としているようなイメージがありますが、実際のところ本当に支援を必要としているのか、支援なんてなくても幸せなのか、少し見ただけで理解できるとは思いませんが、今回見てきた中での印象をまとめます。
アカ族
始めて山岳民族のお宅に泊めて貰ったのはアカ族でした。そこはチェンライの山奥で小さな村です。
彼らの家は竹で出来た高床式の家が多いのですが、僕の伺った家はコンクリートブロックで作られた近代的?な家でした。
伺った時間は夕方だったのですが、取り合えず風呂に入ってこいといわれお風呂に行きます。
風呂やトイレは家の外にあり風呂にはシャワーはなくタライに水をためてバケツで体にかけるという方式です。それは良いのですが、僕がこの生活で一つだけ辛いと思ったことが暖かいお湯を浴びれないことです。
タイでも山の夜は結構冷えます。9月ごろだったのですが、半袖ではいられないほどです。風呂場も風の抜ける小屋のような場所なので寒いです。これで水を浴びるのは修行でもしているようです。
これが早めに風呂に入ってこいという理由だったのですね。
風呂に入ってすっかり冷え切って震えながら戻ると、暖かいお茶を頂きました。アカ族も伝統的にお茶を飲む習慣があるようです。タイ語では「チャー」といいますが、アカ語では「ロム」というそうです。
そのお茶は火の上で軽く煎ってからポットにお湯を注ぎます。茶こしがないので飲むとき茶葉が口の中に入ってきますがそこは気にしないということで(笑)
近所を少し散歩してみると村には小さな商店が一つと教会がありました。
ここの村の住民はキリスト教です。タイもミャンマーも多くの山岳民族がキリスト教なのです。
元々は土着のアニミズムがあったのですが、宣教師が来てキリスト教が広まるにつれ、元々の信仰は廃れてきています。民族衣装も特別な行事のときに着るものになり、普段は洋服をきています。
山岳民族の生活にも現代の貨幣経済の流れが浸透していくにつれ信仰が現代の生活に合わなくなり、キリスト教を受け入れることで支援が受けられるということも改宗に影響しているようです。
毎週日曜日には教会に行きます。その時は民族衣装を着ていくそうです。なんともちぐはぐな印象ですが宗教が変わっても文化を継承することはアイデンティティ
を守るために必要なことでしょう。
散歩から帰るとお待ちかねの晩ごはんです。
キッチンの隣、野外に大きな木製のテーブルとイスがあります。食事はここでします。軒下なので雨は防げますが完全に外です。
調理するときは薪で火をおこし料理をするので毎日キャンプをしているようで楽しいですね。ここではそれが日常なのですが。
食事は正直期待してなかったのですが見事に裏切られました。・・・めちゃくちゃおいしかったです!
この他にもアカ族の料理を食べる機会が何度かありましたが本当においしいです。
アカ族の料理には納豆があります。日本の納豆のようにねばねばは少なく豆が潰されているので納豆と味噌の中間のようなもので、強い塩辛さがあります。単体で食べるというよりご飯につけて食べるものです。
食事の後はコーヒーを勧めてくれました。どんなコーヒーかと思ったらネスカフェのスティックタイプのインスタントコーヒーでした。アカ族も大好きネスカフェ(笑)
ちなみにこちらのお宅ではコーヒーやお茶の栽培をしています。家にはお茶の葉を煎るための大きな窯があります。ビニールハウスのようなところでコーヒー豆とお茶を乾燥させる設備も持っています。
日が落ちると一気に冷えてきます。半そでとサンダルというスタイルで来ていたので寒い。。キッチンの焚火にあたって温まります。
山の人は朝も夜も早いのでその日は21時くらいに就寝。明日に備えて早めに寝ます。
次の日の朝は鶏の鳴き声に起こされました。まだ日が登ってきたばかりの時間ですが家族はみんな起きて朝ごはんの準備を始めていました。
朝も冷え込みましたが、日が登ればすぐに暑くなってきます。丁度いい気温の時間に外での朝食は贅沢な気分です。
今朝のメニューはカボチャのような野菜と豚肉のスープ、小松菜のような野菜のスープ、ご飯、そして虫!
この虫以前食べたことがあったのでそんなに驚きはしませんでした。これは竹虫というその名の通り竹の中に住む虫です。油で揚げてありサクサクしてスナック感覚でいただけます。ビールのつまみに良いかも知れませんね。
スープが2皿で被ってますが朝食もおいしかったです。しかし山の人たちはホントに朝からがっつりですね。肉体労働の人が多いからでしょうか。
ご飯を食べ終わるとすぐにお父さんがバイクで仕事に行きます。腰に大きな鉈を差していく姿はかっこよかったです。
バイクで山に行くお父さんを見送るとすぐに別のバイクがやってきました。その荷台にはカゴが乗っていてその中には生肉(豚肉)があります。
肉の移動販売があるなんて驚きです。そういえば肉を売っている店は見かけませんでした。朝に来るのは昼間だと暑すぎてすぐに腐ってしまうからでしょう。
ちなみに鶏は卵や肉を食べるために飼っている家が多くそういう家から買うこともできます。
そうこうしているうちにお別れの時間です。帰り際お母さんからゆで卵を貰いました。その時はただのお土産かと思っていましたが、それはアカ族では安全祈願のお守りの意味があるそうです。
山の人たちは本当に優しい人ばかりです。また行きたいと思います。ご飯もおいしかったからね!
この地域の主な産業は農業で野菜やコーヒーが主ですが昔はケシ栽培をしていました。ケシは大麻の原料となり、タイ、ラオス、ミャンマーの三カ国が隣接する地域をゴールデントライアングルといいますが、ゴールデントライアングルを中心に広くケシ栽培がされていました。
タイ政府はケシ栽培を禁止していて、代わりにコーヒー栽培を推奨しました。タイでもここ数年でコーヒーが飲まれるようになりオシャレなカフェも増えてきました。日本でもチェンライのコーヒーは少しずつ販売されてきています。