今回タイの山岳民族を巡る旅をしてきました。彼らは少しシャイですぐには心を開いてくれませんが、とっても優しい心をもっています。旅をしている間料理をご馳走してくれたり、家に泊めていただいてもらうこともありました。
そんな山岳民族の暮らしや現状について紹介していきたいと思います。
山岳民族とは
タイの山岳民族について簡単に説明するとラオスとミャンマーの国境付近の山岳地帯に住んでいる少数民族で独自の文化や言語をもっています。もともとは中国の雲南省やモンゴルの方がルーツだといわれ、ミャンマーやラオスを通って、タイの北部に住むようになりました。
山岳民族の生活
多くは農業を中心として生活していますが、カレン族は狩猟も行います。稲作が盛んで山の人はお米を本当によく食べます。現在は都市にでて出稼ぎに行くことも増えています。
昔ながらの家は竹でつくられていて、柱はもちろん床や壁も竹で出来ています。屋根は地域によって差が大きいですが多くは葉を編んだものを使います。
食事を作るときは室内で薪の火で調理します。火をおこすところの上には棚が吊られていてそこで肉などは燻製にして保存食を作ります。
現在は普段から民族衣装を着ている人は少ないですが、それでも特別な行事があるときには民族衣装を着て、最近では現代風にアレンジされた民族衣装もあります。
宗教はもともとは精霊信仰だったのですが、現在はほとんどの地域でキリスト教が信仰されています。村には教会があり毎週日曜日には教会へお祈りにいきます。
山岳民族の現状
自然と共に生きて幸せな彼らの生活ですが、現代社会の波に巻き込まれ様々な問題も出てきました。
タイ国民として認められない!?
タイに住んでいるのにタイ国民として認められず、国民の証明であるIDカードが発行されないことがあります。IDカードがなければ公共の医療などのサービスを受けることができず県をまたぐ移動や銀行口座の開設、賃貸契約など多くの制限があります。
もともと国境付近に住んでいたためどの国に属するのか分からず、山岳民族自身もIDカードの存在を知らないことや必要性を感じていない人もいます。また申請したくてもタイで生まれたことを証明できるものがないことや、タイ語が分からず書類を読むこともできない人もいます。
人身売買の被害
山での生活は多くの現金を得ることが難しく都市部に働きにでることがあります。その際騙されて過酷な労働や買春などの被害にあうことも実際にあります。IDカードを持っていない人ならば国からの保証もないため騙す側も行いやすく、被害者もどこにも訴えることができないという問題があります。
買春や強制労働などは人権を無視した取引として人身売買という括りにまとめることができます。貧困と教育と人身売買はお互い密接に関係していて、なかなか悪循環から抜けられないのです。人身売買を無くすことができれば一番よいのですが、それには様々な問題が絡み合っていて簡単ではありません。
解決策
根本的解決ができるのは教育水準を上げることです。教育によって自分たちの生活を守り、現代社会と共存していく方法を学ぶことができます。このやり方では効果はすぐには表れませんが、次世代を担う子供たちに教育できる環境をつくることが外部からの支援ではなく、山岳民族自身が自分たちの生きる道をつくっていくことができる最良の方法でしょう。
ですのでもしあなたが、支援や募金をするのなら教育に力を入れているNPOやNGOに協力するべきです。